あぜっ地理(アジアの農業)

 

1 モンスーンアジアと稲作  2 中国の農業地域  3 東南アジアの農業  4 南アジアの農業

  目次へ

1 モンスーンアジアと稲作

(1)モンスーンアジア…東アジア・東南アジア・南アジアのモンスーン(季節風)の影響を受ける地域で、農村人口が多く、その大部分は稲作にかかわり、稲作文化をもつという共通点がある。

(2)米の生産(2018年) ExcelファイルFAOSTATより作成)

  

    ※世界の米の生産の90%がモンスーンアジアで生産されている。

(3)米の輸出(2018年) ExcelファイルFAOSTATより作成)

   

(4)米の生産地域

  ア モンスーンアジア

    ①東アジア…自給的、単位収量が大きい、二毛作、南部は二期作

    ②東南アジア…自給的、単位収量が小さい、商業的、輸出量が多い、二期作、浮稲

    ③南アジア…自給的、単位収量が小さい、封建的土地制度

  イ その他の地域

    ①アメリカ合衆国

    ②オーストラリア

    ③南米(ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン)

    ④地中海沿岸(イタリア、スペイン、ギリシャ、エジプト)

     →商業的に栽培、輸出量が多い、単位収量が大きい

2 中国の農業地域

  「中国の農業地域」(図)

(1)農業地域の区分

  ア 南北の区分…年降水量750mm(750~850mm)→チンリン山脈・ホワイ川線

      北部…畑作地域  南部…稲作地域  →「南船北馬」「南稲北小麦」

  イ 東西の区分…標高3000m、年降水量300mm

      東部…農業地域  西部…遊牧、オアシス農業地域

(2)農業地域

  ア 東北…大豆、春小麦、コウリャン

  イ 華北…冬小麦、コウリャン、トウモロコシ

  ウ 華中…水稲、茶

  エ 華南…水稲の二期作

  オ 西部…牧畜、オアシス農業…小麦、綿花

  カ チベット高原…牧畜地域→ヤク

(3)人民公社から生産請負制へ

  ア 人民公社…1982年解体 中華人民共和国において、郷(村)を単位にして結成された組織。

        「政社合一」といって、経済(生産)面だけでなく、政治・軍事・教育・保健など行政が一体となっていた。財産は公社管理委員会・生産大隊・生産隊(生産小隊)の3つの所有に分けられ、農作業は生産隊ごとに共同で行われたことに大きな特徴があった。

  イ 生産責任制…1979年導入

        農家が土地を借り受けて自由に生産を行うことができる制度で、一定量を国に納めれば、残りは自由市場で販売し、利益をあげることができる。農地所有は「集団経済合作組織」(人民公社の後身)にある。

       →「万元戸」(裕福な農家)

3 東南アジアの農業

(1)プランテーション…輸出用の熱帯農作物の単一栽培(モノカルチャー)

  ア 天然ゴム   ExcelファイルFAOSTATより作成)

    

   ※マレーシアは、1960年以降、合成ゴムの進出で天然ゴム価格は低迷し、資金力のある大規模なエステートは環境にやさしい植物性油脂の代表である油ヤシ(パーム油)の栽培に転換していった。

   ※タイでは、天然ゴム産業を国の基幹産業として位置づけ、天然ゴムは重要な輸出品目として政府が増産を 奨励している。特に 1990 年頃からマレーシアで開発された高収量クローンの導入・植え替えによって、単位面 積当たりの収量が飛躍的に増大し、それが増産の大きな要因となっている。また、ゴム樹栽培面積の拡張や内 需拡大にも積極的に取り組んでいる。『ゴム取引の基礎知識』東京商品取引所

  イ 油やし(パーム油)  ExcelファイルFAOSTATより作成)

    

   ※東南アジアで世界の85%以上を生産している。→熱帯林の破壊

   ※パーム油の用途(約80%が食用、残りの約20%が工業用)

     食用…フライ油、マーガリン・アイスクリーム・チョコレート・ショートニング(パン、ケーキの製造に使われる)などの原料。

     工業用…化粧石鹸・洗剤・シャンプー・化粧品などの原料。将来的にディーゼルエンジン油としての活用も期待されている。

    <参考>「パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの」(WWFジャパン

  ウ バナナ  ExcelファイルFAOSTATより作成)

    

   バナナの輸出入  ExcelファイルFAOSTATより作成)

    

     ※オランダ、ベルギーは輸入したバナナをEU域内に輸出している。

  エ コプラ(ココヤシ)  ExcelファイルFAOSTATより作成)

    

    ※コプラは、ココヤシの果実の胚乳を乾燥したもの。灰白色で約40~65パーセントの良質脂肪分を含む。圧搾してコプラ油(椰子油)をとり、マーガリン・石鹸・蝋燭などの原料とし、かすは肥料・家畜飼料とする。生のココナッツミルクなどに比べて酸敗の恐れが少なく原料油脂として世界中で食用に使われる。主に東南アジア諸国や太平洋諸島で生産される。

(2)タイの農業…米のモノカルチャー経済から脱皮→天然ゴム、パイナップル

(3)マレーシアの農業…天然ゴムからアブラヤシへの転換

(4)ベトナムの農業…農業輸出国へ、米、天然ゴム、コーヒー豆

4 南アジアの農業

(1)5大作物

  ア 米…年降水量1000mm以上の海岸部→ガンジス川、ブラマプトラ川の中・下流域

  イ 小麦…パンジャブ地方、ガンジス川の上・中流域

  ウ 綿花…デカン高原、パンジャム地方→レグール土

  エ 茶…アッサム地方、スリランカ

  オ ジュート(黄麻)…ガンジス川下流域

   「南アジアの農業地域」(図)

(2)綿花の生産と輸出  ExcelファイルFAOSTATより作成)

  

   ※綿花栽培…乾燥地域、乾季のある地域で、オアシス農業や大規模灌漑が行われている。

(3)茶の生産と輸出  ExcelファイルFAOSTATより作成)

  

   ※ケニア、スリランカは重要。

(4)ジュート(黄麻)の生産  ExcelファイルFAOSTATより作成)

  

   ※インドとバングラデシュで、世界の約97%を生産している。

(5)貧しいインド農民と近代化

  ア イギリスの植民地経営

  イ 大土地所有制(ザミンダーリー制)…1950年代に廃止

  ウ 1960年代「緑の革命」→多収量品種の導入…インド(米・小麦)、パキスタン(小麦)

               →地域間や農民間で貧富の差が拡大

 

目次へ

 

Copyright © AZETA Toyotoshi All Rights Reserved.