あぜっ地理(人口増減) |
1 人口増加 (1) 自然増加=出生数ー死亡数 (自然増加率=出生率ー死亡率) (2) 社会増加=流入数ー流出数 (社会増加率=流入率ー流出率) →都道府県境や国境を越えた人口移動 (3) 人口増加=自然増加+社会増加 (人口増加率=自然増加率+社会増加率) 2 人口の自然増加 (1) 主な国の人口の自然増加率 Excelファイル ‰(パーミル)…1000あたりの数値で、人口統計でしばしば使用される。 1%=10‰
上の表とグラフは、「Table 3: Live births, deaths, and infant deaths, latest available year」 (Population and Vital Statistics Report)より作成 (2) 出生率…発展途上国で高い。→子どもが労働力、宗教の影響 宗教の影響の強い国も出生率が高い。→イスラム教の国 アメリカ、オーストラリアが他の先進国より高い。→移民の受け入れ (3) 死亡率…発展途上国で、乳児死亡率が高い。 先進国で、高齢者死亡率が高い。 (4) 人口増加率…発展途上国で高く、先進国で低い。 日本やドイツ、イタリアなどの高齢社会の国は、人口が減少している。 東ヨーロッパの国々も人口が減少している(人口増加率がマイナス)。 3 人口転換 経済発展とともに、「多産多死型」→「多産少子型」→「少産少死型」へと変化する。 (1) 多産多死型(人口漸増型)…近代化前の社会、伝統的農業社会、 飢饉、疫病、戦争→高い死亡率 労働力確保、宗教や社会制度の影響→高い出生率 ⇒死亡率と出生率が高く、大きな変動を保ちつつ、平均的には人口増加率は低い状態にある。 (2) 多産少子型(人口急増型)…工業化、都市化→所得水準の上昇、医学や公衆衛生の発達 乳児死亡率などが低下し、社会全体の死亡率が低下するが、出生率は依然として高水準にある。 ⇒人口急増 (3) 少産少子型(人口漸増・停滞型)…出生数を減らしても家族・社会 の存続が可能 子供の養育コストの増大、 結婚・出産に対する価値観の変化、避妊など出生抑制技術の普及 →出生率が死亡率に追いつくように低下 ⇒人口の漸増・停滞 (4) 第二の人口転換…さらに出生率が低下⇒人口減少 結婚や家庭に対する個人や夫婦の価値観の変化→晩婚化、未婚化 <参考>「人口転換理論」(第3節 先進国の出生率の動向ー『平成16年版 少子化社会白書』) 4 人口の社会増加 (1) 人口の国際移動(第二次世界大戦以前) ①ヨーロッパから新大陸へ移動 a スペイン、ポルトガル→中南アメリカ(16世紀~) ※ポルトガルは、ブラジルへ。 b イギリス、フランス→北アメリカ(16世紀~) c イギリス→オーストラリア、ニュージーランド(19世紀~) ➁黒人奴隷としてアフリカ中部から南北アメリカへ移動(16~19世紀) プランテーション農園の奴隷労働者として強制的に移動させられた。 ③華僑…中国南部の福建省、広東省を中心に中国から海外へ移住した人々。 →東南アジアを中心に世界各地に移住し、定住化も進む。 マレーシア…人口の約23%が中国系 シンガポール…人口の約74%が中国系 ※華人…移住先の国籍を取得した人 ④印僑…イギリスによる植民地時代に、プランテーション労働者としてインドから他のイギリス領へ移住 →ケニア、南アフリカ、マレーシア、フィジー、ガイアナ、スリナム ⑤日系移民…日本人の海外移住者 →ハワイ、アメリカ西海岸、ドミニカ、ブラジル、ペルー
(2) 第二次世界大戦後の労働力の国際移動 雇用能力や所得水準の高い国や地域に人口が移動する。 ①アメリカへの移動 メキシコなど中南アメリカからの移民が多い。→ヒスパニック系移民 ※ヒスパニック…スペイン語を母国語とする集団 →メキシコ系、プエルトリコ系、キューバ系、中央・南 アメリカ系など 1942~64年 米国のブラセロ計画(戦時の労働力不足を補うために緊急政策) →延べ500万人を上回るメキシコ人契約農業労働者を南西部の農村に導入した。 1965年 移民法改正(差別的措置の禁止、移民による離散家族の呼寄せ可など) →ヒスパニック系移民の大幅な増加 →農業労働者から都市労働者へ ※ヒスパニック系は、アメリカの人口の約16.3%(2010年)を占めている。 『データブック オブ・ザ・ワールド2020』より ➁ヨーロッパへの移動 ドイツ…高度経済成長の労働力不足を補うために、トルコ、旧ユーゴスラビア、イタリアなどから、「ガストアルバイター(Gastarbeiter)」と呼ばれる外国人労働者を受け入れた。1973年の第1次石油危機を契機に、外国人労働者の募集を停止する。 →「ガストアルバイター」の残留と排斥運動(特にトルコ系住民に対して)の問題 →EU拡大後、新たな移住ブーム…ポーランド、ブルガリア、ルーマニアからの移住 <参考>「50年後のガストアルバイター ―WSI調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構) イギリス、フランス…旧植民地から外国人労働者が流入 イギリス…インド、パキスタンなどのアジアから フランス…アルジェリア、モロッコなどの北アフリカから ③中東産油国(サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦など)への移動 1973年、1979年の石油危機による原油価格の高騰 →中東の産油国は石油収入が増大し経済成長が始まる →道路、工場、住宅などの建設ラッシュ →外国人労働者の流入 近隣の西アジア・北アフリカ、パキスタン、バングラデシュ、インドネシア、フィリピンなど ④日本への移動 Excelファイル 労働力不足を解消するために、外国人労働者や外国人技能実習生を受け入れる。 1990年 入国管理法改正→日系外国人の単純労働が可能となる →ブラジル人、ペルー人の増加 1993年 技能実習制度の創設→研修後1年間の就労 →中国人の増加 2009年 入国管理法改正→在留資格「技能実習」が設けられる。 →技能実習生も労働基準法の対象となる。 →中国人、ベトナム人の増加 1990年 在留外国人が100万人を超える。 2005年 在留外国人が200万人を超える。 法務省「在留外国人統計(旧登録外国人統計)」より作成 2009年の入管法の改正により、2009年までの統計と2010年以降の統計とは接続しない。 2015年以降の「韓国,朝鮮」は、「韓国」の人数である。 ※「韓国、朝鮮」が圧倒的に多かったのは、日本の植民地政策、戦後処理が背景にある。近年減少し続けているのは、日本国籍を取得する傾向にあるからである。なお「韓国、朝鮮」の「朝鮮」は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国籍ではなく、日韓基本条約(1965年)以降に韓国籍を取得しなかった朝鮮半島出身者の国籍を意味している。 (3) 人口の国内移動 ①地方分散型…アメリカの西漸運動→西部開拓に伴人口移動 ロシアの東漸運動→シベリア開発に伴う人口移動 ➁都市集中型…農村部から都市に人口移動→都市問題
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