2026年度大学入学共通テスト「地理総合・地理探究」 2026年1月17日実施   TOPへ

 2025年度から新学習指導要領の大学入学共通テストに変わり、地理の受験科目は「地理総合・地理探究」になりました。受験生も、教員も不安な中での共通テストを迎えることになりました。予備校などが作成した直前演習問題は、かなり難しく、悪戦苦闘した生徒も多かったと思います。2回目の「地理総合・地理探究」はどんな問題だったでしょうか。知識や考え方を落ち着いて組み合わせれば、思ったほど難しくなかったのではないでしょうか。

2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。

特に、地図帳の「気候」や「世界の大地形」のページは、1分でもいいので、毎日見てほしいと思います。

また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。

今年、解説が遅くなったのは、3年の担任をしていたからです。

間違いがありましたら、メールで教えてください。

共通テストの問題と解答は、こちらを参考にしてください。

過去の共通テスト・センター試験「地理B」分析は、こちら

第1問(乾燥・半乾燥地域の生活文化の多様性)

問1 北アフリカのモロッコ内陸部の伝統的な建物と農業

  乾燥・半乾燥地域では、伝統的な建物の素材に「1 日干しレンガが主に用いられ」、直射日光を遮るためや「2 砂やほこりの侵入防ぐ」ために建物の窓は小さい。また、乾燥・半乾燥地域では、ナツメヤシが「3 オアシスで栽培され」、ナツメヤシの実はデーツと呼ばれ、乾燥させて栄養価の高い保存食です。「4 工業用として輸出されている」のは、アブラヤシです。「4」が誤り。

問2 乾燥・半乾燥地域での水の利用

 「ア」はティグリス川流域と思われ、衛星画像のようにティグリス川から水路によって水を得、周辺ではセンターピボット方式の灌漑農業も行われています。→C

 

 

 「イ」は、サウジアラビアの淡水化プラントと思われる。次の衛星画像は、Ras Al Khair Desalination Plant。→A

 

 「ウ」はタリム盆地北部で、7000m級のテンシャン山脈から氷河や雪が融け出すことによって、流量が大きくなる内陸河川の水を利用しています。→B

問3 乾燥・半乾燥地域の生活文化

  「ジャガイモの栽培」「アルパカやリャマ」でアンデス山脈になる。雨温図から高山気候を読み取れるので、「2」になります。

問4 乾燥・半乾燥地域の家畜

  xはインドに多く分布しているので、ヒンドゥー教で神の使いとされている牛になります。yは乾燥・半乾燥地域に多く分布しているので、乾燥や粗食に強い羊になります。近年、モンゴルでヤギの飼育頭数が増加しているのは、ヤギのカシミヤは高く売れるからです。

第2問(地域調査)

問1 地形と農業

 五所川原市は、岩木川下流と標高の高い部分に位置する。→米(ア)、果実(イ)の農業産出額の割合が大きい。

 

 つるが市は、海岸付近の砂丘と岩木川流域に位置する。→米(ア)、野菜(ウ)の農業産出額の割合が大きい。

 

 弘前市は、標高の高い部分に位置する。→果実(イ)の農業産出額の割合が大きい

 

問2 ため池決壊のハザードマップ

 「中泊町ため池ハザードマップ」「高根・尾別地区」をもとに作問されています。ため池の多くは、「谷口を堰き止めて」造られた形態です。ハザードマップからも分かるように、図中の点線は「浸水までの時間」を示しています。

問3 十三湖の産業

  「低価格の販売を目的に」ではなく、他産地のシジミとの差別化によってブランド化し、付加価値をつけています。「地理的表示保護制度」は、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度です(農林水産省)。

 「十三湖と大和しじみ」(十三漁業協同組合)

問4 リンゴの輸出

  2028~2020年の日本のリンゴの総輸出量は、2008~2010年の約1.4になり、東南アジアの国々の輸出量に占める割合も増えているので、東南アジアへの輸出量は「増加」したと考えられます。図2については、Aの国から5月・6月に輸入量が多いため、Aの国は南半球と考えられます。よって、Aがチリで、Bが日本になります。

第3問(世界の自然環境と自然災害)

問1 海底地形

 

 「ア」は海嶺の画像なので、Cになります。

 

 「イ」は海溝の画像なので、Aになります。

 

 「ウ」はかつてホットスポットによって造りだされた島々の画像なので、Bになります。

 

問2 二酸化炭素濃度の推移

  二酸化炭素濃度の季節変動は、主に北半球の陸上「植物」の光合成活動が夏に活発、冬に不活発になることが原因です。夏は「植物」が二酸化炭素を吸収し減少し、冬は呼吸や分解により増加します。図3の「カ」は、ハワイと同じ推移を示しているので、北半球のアラスカになり、「キ」がニュージーランドになります。

問3 土壌の分布

 E…「火山の分布状況を反映」→サ…火山の西側に分布 ※黒ボク土農研機構・日本土壌インベントリー

 F…「河川氾濫によって堆積した土壌」→シ…海岸線沿いに分布 ※低地土農研機構・日本土壌インベントリー

 G…「山地や丘陵地に多く見られ」→ス…平野以外に分布 ※褐色森林土農研機構・日本土壌インベントリー

問4 アメリカとカナダにおける湿地・湖沼の分布

 1…「夏季には草やコケ類が繁茂し」→タ…ツンドラ

    ※【永久凍土地帯を歩く】アラスカ・バローにて国立環境研究所動画チャンネル

 2…「大規模な鳥趾状三角州」→ツ…ミシシッピ川河口

    ※三角州の形成と分類(鳥趾状・円弧状・カスプ状三角州)地理ラボ 詳しすぎる高校地理

 3…「氷床が、地表を削ったことにより形成」→チ…氷河湖 

 4…「マングローブ」→テ…熱帯のフロリダ半島南部

    ※『世界遺産』9/5(日) 北米最大 フロリダ半島の大湿地帯 〜 エヴァグレーズ国立公園 ~【TBS】

問5 世界の水資源

  最も水資源量の多い「J」が、世界最大の流量のアマゾン川がある南アフリカになり、水資源量が最も少なく1人当たりの水資源量が最も多い「L」が人口の最も少ないオセアニアになります。残りの「K」がヨーロッパ。

  「チ」と「Y」に該当する図のみがグラフのパターンが違います。このグラフは、上昇気温が他のグラフより高くなっているので、海洋の割合が大きく、海氷が融けて上昇気温が大きくなる北半球の80~90度と考えられます。「チ」が北半球で「タ」が南半球になり、「Y」が80~90度で「X」が30~40度になります。

問6 小~中規模の噴火によるハザードマップ

  Qのハザードマップは山頂付近から流れているので、「積雪期の融雪型火山泥流」に該当する。本州における火山の大規模噴火では、偏西風の影響を受けるため、火山灰は火口から東側に降ることが多い。

   「浅間山融雪型火山泥流マップ(長野原町)」 「浅間山融雪型火山泥流マップ(嬬恋村)」

   「浅間山融雪型火山泥流マップ(御代田町)」 「浅間山融雪型火山泥流マップ(軽井沢町)」 「浅間山融雪型火山泥流マップ(小諸市) 」

   内閣府「大規模噴火時の広域降灰対策について ー首都圏における降灰の影響と対策ー~富士山噴火をモデルケースに~(報告)」

第4問(エネルギーと産業)

問1 天然繊維の生産量

  図1の「ア」は、綿花。中国、インド、アメリカ、ブラジルで世界の生産量の70%以上を占めています。綿花は、プランテーションでの生産から発展したり、乾燥地域では灌漑施設を用いて栽培されています(C)。図1の「イ」は、ジュート。インド、バングラデシュで世界の生産量の90%以上を占め、主にガンジスデルタ(肥沃な低湿地)で栽培されています(A)。残りのウが、亜麻(リネン)になります。フランスで世界の生産量の70%以上を占めています。亜麻(リネン)は、綿花やシルクに比べ、吸水・発散性に優れているためパジャマやバスタオルに利用され、珠玉の天然繊維と呼ばれています。ヨーロッパでは、混合農業の輪作作物となっています(B)。

  リネン(亜麻)について日本麻紡績協会

問2 工業立地の変化

  繊維工業は、人件費の安い中国や東南アジアなどへの生産移転が進んだ結果、事業所数や製造品出荷額の減少が続いている。総事業所数が491事業所から29事業所に減少している3と4が綿紡績業になり、事業所数が少ない4が2021年になります。よって、2が化学繊維製造業、2021年になります。

  「競争力の研究」・第16回「繊維」 独立行政法人経済産業研究所

問3 衣料品輸入先と動向の推移

  人件費上昇やコロナ禍の「ゼロコロナ政策」の影響で、「世界の工場」として大半を占めていた中国から、ASEANなどへの生産シフトが顕著になっています。繊維産業は人件費の影響を大きく受けるため、人件費の安い国・地域に海外生産地を変えていきます(渡り鳥企業)。アジアNIEsの韓国→「世界の工場」の中国→ドイモイのベトナム→ASEANのミャンマー、インドネシア、南アジアのバングラデシュ、スリランカへと海外生産地を変えています。

  「繊維製品・主要国別輸入の推移」 日本繊維輸出組合/日本繊維輸入組合

問4 小売業の立地

  飲食料品小売業は、ロードサイドより都市中心部に立地する傾向があるので、Eが都市中心部、Fがロードサイドになります。自動車小売業はロードサイドに立地する傾向があるので、ロードサイドの割合が大きいキが自動車小売業、カが衣料品・身回品小売業になります。

問5 衣料品類の再利用・再資源化

  図3のKは、サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠より南にあるアフリカの国々)に円が見られるので、中古衣料品の輸入額を示したグラフと考えられます。EUでは、2024年7月に「エコデザイン規則(ESPR)」が施行され、2026年7月から衣類と履物を対象とする「アパレル廃棄禁止規則」が施行される予定です。サは、EUになります。

  「国際リユースと発展途上国」 アジア経済研究所

  「2026年7月施行予定のEU「アパレル廃棄禁止規則」」 東芝テック株式会社

第5問(人口と都市)

問1 人口密度と農業生産

  人口密度が最も大きく、1人当たり穀物生産量が最も多い2が、アメリカとカナダの北アメリカになります。人口密度が最も大きい1が、ヨーロッパになります。2020年の人口密度が1970年の4倍近くになった3が、人口が急増しているアフリカになります。アフリカは、1人当たり穀物生産量に最も少ないままです。残りの4が南アメリカになります。

問2 人々の国際移動

  建設ラッシュアラブ首長国連邦は、外国人建設労働者に頼らざるを得ないため、アジア人労働者が大量に流入しています。当該国出身の国外居住者が最も少なく、当該国における外国人居住者が多いアが、アラブ首長国連邦になります。インドネシアは政府主導で海外就労を推進しており、当該国出身の国外居住者が多く、当該国における外国人居住者が最も少ないウが、インドネシアになります。残りのイがフランスです。

問3 人口増加率の推移と人口ピラミッドの変化

  図2のAは、自然増加率が高い状態を維持しているのでアフリカのマリになります。図2のBは、1970年以降自然増加率が低下しているので、新興工業国のメキシコになります。1950年から自然増加率が低下しているのでヨーロッパの先進国のフィンランドになります。図3の人口ピラミッドについては、富士山型(多産多死型)のクが、発展途上国のマリで、富士山型から釣り鐘型に移行したキが新興国のメキシコになります。2020年に少子高齢社会の人口構成になっているカがフィンランドになります。

問4 都市の機能

  ニューヨークは世界の金融、経済、文化の中心都市で、デトロイトは自動車工業を中心とする工業都市です。工業都市は都市中心部と周辺地域で違いが出る考えられるので、中心部と周辺部で職業別就業割合で違いがみられる「F」が、工業都市のデトロイトになります。ニューヨーク(E)は、世界の金融、経済、文化の中心都市なので、割合の大きい「サ」が「管理的・専門的職業」と考え、デトロイトの方が割合が大きい「シ」が「生産・輸送職」になります。

問5 産業や生活環境の地域差

  三大都市圏に通勤、通学する人は多いので、三大都市圏周辺が高位になっている「タ」が、「平均通勤・通学時間」になります。「チ」と「ツ」は地方が高位になっています。「チ」は北海道が高位に、「ツ」は北海道が低位になっています。北海道が高位になっている「チ」が、第一次産業就業者割合で、北海道が低位になっている「ツ」が持ち家住宅割合になります。北海道は、全国で5番目に持ち家住宅割合が小さくなっています(2023年)。沖縄42.6%、東京44.7%、福岡52.7%、大阪54.5%、北海道57.0%となっています(県勢2026)。

問6 産業や生活環境の地域差

  人口集中地区の人口は約8.3%の人口増加で、人口集中地区の面積は8.3%以上拡大しているように見えます。人口集中地区の面積が拡大するとともに人口密度が「高まる」とは考えられません。この地方都市は、鶴岡市ですね。

  

  時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」で確認してください。

第6問(ドナウ川、ナイル川、メコン川流域)

問1 サイクロン

  3つの河川のうち、すべて同じ気候帯を流れているのは、温帯を流れているドナウ川です。「ア」がドナウ川になり、網掛が温帯になります。「イ」の河川は、温帯を流れることになるので、「イ」がメコン川になり、河口部の黒の凡例が熱帯になります。残りの「ウ」がナイル川で、源流は熱帯で、ほとんどが斜線の乾燥帯を流れています。

問2 都市の景観

  メコン川流域は仏教が広まり、ナイル川流域はイスラームが広まっています。写真1の「カ」は、仏教寺院なのでプノンペンの写真です。写真1の「キ」は、屋根がドームになっているので、イスラームのモスクです。「キ」がハルツームになります。カンボジアは1970年から20年以上の内戦が続き、ポル・ポト政権下では大虐殺が行われ、首都プノンペンは破壊されました(A)。ハルツームは、古くから交易や文化の拠点で、ナイル川航路の中継地として発展しました(B)。

問3 モノの移動

  「通過するだけの貨物は除く」ので、オーストリアを発着するオーストリアードイツ間とオーストリアースロバキア、ハンガリー間の貨物量の比較になります。オーストリアの貿易相手国はドイツが1位なので、「シ」が上流側(ドイツ)になります。ドナウ川はドイツのルール工業地域と繋がっていないので、輸送手段別割合が最も大きい「D」は、自動車となります。

問4 水資源の国外依存度

  エチオピアやタンザニアでは、ナイル川流域と国土の重複が小さくなっているが、水資源の国外依存度は30%未満で低くなっており、「流域と国土の重複が小さい国では、水資源の国外依存度が高い」は誤りになります。

問5 経済協力の枠組

  ドナウ川流域のスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアは2004年以降にEUに加盟し、メコン川流域のベトナム、カンボジア、ラオスは1995年以降にASEANに加盟しています。1人当たりGDPの変動係数が小さくなった「J」と「K」がドナウ川、メコン川のいずれかで、1人当たりGDPの平均値が大きい「J」がEU加盟国を流れるドナウ川になり、「K」がメコン川になります。残りの「L」がナイル川です。

 

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