2020年度大学入試センター試験「地理B」 2020年1月18日実施 TOPへ
2020年度大学入試センター試験「地理B」は、出題傾向は昨年と大きく変わっていません。授業ではよく扱う内容から出題されていますので、昨年よりやや易化したと思います。センター直前演習問題と類似した問題が、多かったのではないでしょうか。
2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。
また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。
とりあえず、問題を解いてみて、ポイント、感想をアップしました。
間違いがありましたら、メールで教えてください。
センター試験の問題と解答は、こちらを参考にしてください。
過去のセンター試験「地理B」分析は、こちら
第1問(世界の自然環境と自然災害)
問1 高原・高地
地図帳の「世界の地形」や「各地域の地図」で標高を確認すること。
A…サハラ砂漠のアハガル高原あたりで、2918mのタハト山があり、ワジやオアシスがみられる。⇒②
サハラ砂漠のリビアとチャドの国境付近はティベスティ高原で、3000mを超える活火山がみられる。
→トゥーシド山(3265m) エミクシ山(3415m)
B…チベット高原あたりで、ツンドラ気候(ET)がみられ、永久凍土が分布する。⇒➃
C…ラブラドル高原あたりで、氷河湖がみられる。⇒①
D…ギアナ高地あたりで、高地の西側は2000~3000mの、東側は1000m以下のテーブルマウンテンがみられる。⇒③
テーブルマウンテンの一つアウヤンテプイ(2535m)には、ベネズエラの世界遺産アンヘル滝(エンジェルフォール)がある。
問2 ハイサーグラフ
①、②のグラフは、7月の平均気温が低いので、南半球のアかエのどちらかである。
エは、Cfaと考えられるので、エが①となり、②がアとなる。
③、④のグラフは、1月の平均気温が低いので、北半球のイかウのどちらかである。
イは高緯度の内陸部で気温の年較差が大きいので、イが➃となる。
ウの沿岸は暖流のアラスカ海流が流れているので、降水量が多く、冬は温暖なため、ウが③になる。
問3 プレート境界と地震、火山
プレート境界では、一般的に地震と火山活動がみられるが、大陸プレート同士の境界(衝突型)では火山活動がみられないところが多い。
地図帳の「世界の地震と火山」と「プレートテクトニクス」を見比べて確認すること。
カ…アフリカプレート、ユーラシアプレート、エーゲ海・アナトリアプレートの境界部で、地震と火山がみられる。
キ…インド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界部近くで、地震は見られるが火山は見られない。
ヒマラヤ山脈、チベット高原、パミール高原でも、地震は見られるが火山は見られない。
ク…太平洋プレートと北アメリカプレートの境界部で、地震と火山がみられる。
ケ…安定陸塊のため、地震も火山もみられない。
※アフリカプレート、ユーラシアプレートの境界部のアトラス山脈、ピレネー山脈では、地震は見られるが火山は見られない。→頻出
問4 気圧帯
低圧帯(上昇気流)で雨が降りやすい。
セの緯度帯の7月は、低圧帯に覆われるので、雨が降りやすい。⇒誤り
問5 気候と植生
地図帳の「気候区分」を参考にすること。
P…Af(熱帯雨林)→Aw→BS(低い)→BW(無樹木)⇒➃
Q…Dw(タイガ)→Df(タイガ)⇒②
R…BW(無樹木)→BS→Aw(疎林)⇒③
S…Cw(照葉樹)→Aw(疎林)→Af(熱帯雨林)⇒①
問6 自然災害
タ…カリブ海沿岸に発生数が多い。⇒熱帯低気圧
ツ…新期造山帯に位置する国に発生数が多い。⇒地震
残りのチが森林火災。
第2問(資源と産業)
問1 鉄鋼の生産
マンガンのほとんどは製鉄用に使用されているため、マンガンの輸入量の問題であるが、鉄鋼の生産と関連付けて考える。
①…2010年以降大きく増加⇒インド
③…推移の変化が小さく、2011年に減少(東日本大震災)。➃より輸入量が多い。⇒日本
➃…推移の変化が小さく、③より輸入量が少ない。⇒スペイン
②…残りの韓国。2011年以降、日本より輸入量が多くなっている。東日本大震災の影響か。
問2 水産業
④…排他的経済水域の設定の影響で激減したのは、「沖合漁業」ではなく「遠洋漁業」である。
問3 シンガポールとトルコの輸出品目の変化
トルコは繊維工業が盛んであるが、現在は欧米、日本の自動車企業が進出し、欧米を中心に自動車を輸出している。
また、オレンジ類、レモン・ライム、ブドウなどの果実の輸出額も多い。トルコの野菜・果実の輸出額は、全輸出額の4.4%(2017年)。
「2018年の自動車、生産減も輸出額は増加」(日本貿易振興機構)
イ⇒衣類 ウ⇒果実 ア⇒電気機械
問4 米の生産量、輸出量、輸入量
タイをヒントに、以下のように考えよう。
米の輸出量の多い国→タイ、インド(この2カ国が、1位か2位)⇒キ
米の生産量の多い国→中国、インド、インドネシア、バングラデシュ、ベトナム、(タイは6位)⇒ク
残りのカが、米の輸入量になる。
問5 風力発電
偏西風を利用できるカナダ、ポルトガルは、風力による発電量が多い。
風力発電の割合が大きいのは、ポルトガルである。⇒➃
問6 経済のサービス化や知識産業化の進展
①…すべての項目で最も高い⇒スイス
②…人口1人当たりGNIが大きい、人口1人当たり研究開発費が少ない⇒アラブ首長国連邦
③…人口1人当たり研究開発費が多い、労働人口に占める金融・保険業の従業者割合が大きい⇒日本
日本の人口1人当たりGNIが、約35,000ドルであることを覚えていれば、簡単な問題である。
④…人口1人当たりGNIが最も小さい⇒ハンガリー
第3問(都市と村落)
問1 都市の分布
地図帳の最初の見開き「世界の国々」で、人口300万以上の主な都市の分布を確認できる。
①…人口300万以上の都市数が最も多い→北緯40度付近が最も多い⇒イ
②…人口300万以上の都市数が最も増加している→中国南部、南アジア⇒ウ
③…人口300万以上の都市数が最も少なく、増加数も少ない→ヨーロッパ⇒ア
④…1975年に人口300万以上の都市数が最も少なかったが、4倍になった⇒残りのエ
※都市の人口は、「市域人口」と「都市域人口(郊外を含む)」によって大きく異なるので、注意しよう。
この問題は、都市数から「都市域人口」だと考えられる。
問2 人口の第1位都市と第2位都市
①エチオピア…アディスアベバ(310万人) メケレ(28万人)
②オーストラリア…シドニー(452万人) メルボルン(435万人) 首都キャンベラは42万人 ⇒正解
③韓国…ソウル(981万人) プサン(345万人)
➃チェコ…プラハ(126万人) ブルノ(37万人)
『データブック オブ・ザ・ワールド2020』より
問3 都市問題
③先進国の都市では、都市の中心部の再開発によって、高所得者層が戻ってきている。→ジェントリフィケーション
問4 香港の国籍別労働者の変化
「労働者総数に占める管理職・専門職従事者の割合」
→割合が大きい②、③は、イギリス、日本のどちらか。
⇒労働者総数が大幅に減少した②が、旧宗主国のイギリスで、残りの③が日本になる。
→割合が小さい①、④は、フィリピン、タイのどちらか。
⇒管理職・専門職従事者の割合が最も小さく、労働者総数の最も多い①がフィリピンで、残りの➃がタイになる。
問5 地域間の人口移動
東京都より大阪府への人口移動が多いキとケが、岡山県、鳥取県のどちらかである。
→経済規模や教育機関が多い岡山県に鳥取県から人口が多く移動すると考えると、キが岡山県、ケが鳥取県になる。
東北地方の中心の宮城県に秋田県から人口が多く移動すると考えると、カが宮城県、クが秋田県になる。
問6 都市の機能分化
居住期間が5年未満の人口割合…賃貸住宅、集合住宅に居住、都市の中心が高位⇒サ
核家族世帯割合…交通の便の良い、地価の比較的安い、都心の周辺の戸建て住宅に居住、都心の周辺が高位⇒シ
第1次産業就業者世帯割合…都市の周辺部が高位⇒ス
第4問(東南アジアとオセアニア)
問1 海底地形
ア、イは大陸棚。
ウは、プレート境界部で、海溝がみられる。⇒最も深い(正解)
エは、太平洋の真ん中であるが、ホットスポットがみられる場所で、周りよりも浅い。
問2 雨温図
A、Cは北半球なので、②、③のどちらかである。
→Cは、赤道に近い海洋部なので年中高温多雨。⇒②
Aは、Awなので雨季と乾季がみられる。⇒③
B、Dは南半球なので、①、④のどちらかである。
→Dは、Cfbなので、年中降水で、最暖月平均気温が22℃未満である。⇒➃
Bは、乾燥気候で、降水量が少ない。⇒①
問3 プランテーション農業
カ…フィリピン、インドネシアで生産量が多い⇒コプラ油
キ…オーストラリアで生産がみられる。⇒サトウキビ
残りのク⇒茶
問4 東南アジア、オセアニアの鉱産資源
①…東南アジアで産出→ミャンマー、インドネシア⇒すず
②…オセアニアで産出→ニューカレドニア⇒ニッケル
③…オーストラリア、東南アジア島嶼部で産出⇒ボーキサイト
※問題の統計年次は2015年で、マレーシアは2016年よりボーキサイトの採掘を停止している。
➃…オーストラリアのみ産出⇒鉄鉱石
問5 貿易関係
シ…貿易額の最も大きい⇒中国
サ…中国に対して貿易黒字→中国にエネルギー資源、鉱産資源を輸出⇒オーストラリア
セ…貿易額が最も小さい⇒ラオス
残りのス⇒タイ
問6 生活文化と民族・宗教
①…インドネシアは世界で最もイスラム教徒の多い国であるが、バリ島はヒンドゥー教徒が多い。
第5問(中国とブラジル)
問1 長江とアマゾン川
アマゾン川…ほとんどが標高200m未満のアマゾン盆地を流れている。流量は世界最大。
→河川勾配⇒イ 月平均流量⇒A
長江…チベット高原を源流域とし、標高500m以上の高原地帯を流れ、東シナ海へ流れ出る。
→河川勾配⇒ア 月平均流量⇒B
問2 牛乳、小麦、バナナの生産
牛乳…消費立地、全国で生産⇒キ
小麦…年降水量が500㎜~1000㎜⇒カ
バナナ…温暖な気候⇒ク
問3 BRICSの産業構造と工業の発展過程
輸入代替型工業(繊維工業中心)→輸出指向型工業(機械工業)
食料品工業の比率が高い→ブラジル⇒ス
繊維工業の比率が高い→インド⇒セ
石油製品の比率が高い→ロシア⇒シ
機械工業の比率が高い→中国⇒サ
問4 貨物輸送
鉄道貨物輸送量の多い国…アメリカ、中国、ロシア
※インドは、鉄道旅客輸送量が多い。
国内航空貨物輸送量が多い国は、先端技術産業が発達した国→アメリカ、中国
東海岸、西海岸に工業都市が発達するアメリカの方が、国内航空貨物輸送量が多い。
アメリカ⇒① 中国⇒②
鉄道貨物輸送量は、ブラジルよりインドの方が多い。インド⇒③ ブラジル⇒➃
問5 国外への移住
図6「中国またはブラジル国籍をもつ居住者数」
1990年「出入国管理及び難民認定法」の改定・施行
→日系外国人(ブラジル人、ペルー人など)の日本での単純労働が可能にし、労働力不足を補った。
2008年のリーマンショック以降、減少している。 ブラジル⇒タ
1993年 技能実習制度導入→中国人技能実習生 中国⇒チ
図7「日本出身の居住者数」
1908年から多くの日本人がブラジルに移民した。
1990年以降は、日本への出稼ぎにより減少、2008年のリーマンショック以降は帰国により増加⇒Yがブラジル
日本企業が中国に進出→中国における在外在留邦人の増加⇒Xが中国
第6問(甲府盆地とその周辺の地域調査)
問1 気候
ア…夏季の気温の日較差が最も大きい⇒内陸部の甲府
ウ…冬季の総降水量が最も多い⇒沿岸を暖流の黒潮が流れる御前崎
残りのイ⇒東京
問2 鳥瞰図
正面に山地、右側になだらかな山地⇒②
問3 地形図読図
①…石積みの堤防からB地点は、御勅使川の旧河道であったことが分かる。
②…D地点は徳島堰より標高が低い。⇒正解
③…A地点は、扇状地よりも高い。
④…C地点は、扇状地の扇端に位置し、郵便局や学校がみられる。
問4 養蚕業と家屋
一般に、養蚕農家の二階は、蚕室として活用した。
2階への採光や、壮蚕期に必要な空気の流れを良くするため、さまざまな民家構造が考え出されてきた。
神金地区の家屋にみられる屋根の棟の上に換気のために建てられた高窓も、養蚕農家の特徴である。
合掌造りも、同じ構造である。 サ⇒「通気性」
図5…養蚕戸数が減少し、塩山地区の養蚕戸数に占める割合が大きくなっている。 シ⇒「遅くまで行われていた」
問5 地理情報の分析
落ち着いて図6の2つの地図をみると、①、②、④が誤りであることがわかる。
問6 人口増加率
①…人口増加率=自然増加率+社会増加率
→図7から常に人口増加率がマイナスであることが分かる⇒誤り