地理の授業(農業の発達と地域区分)                                  No.2-3-1
   

1.農牧業の成立条件  2.作物や家畜の伝播  3.ホイットルセー  4.農牧業の地域区分  目次へ

1.農牧業の成立条件

 (イ)自然条件

   @気候…栽培限界

    (a)気温限界…最暖月平均気温が10℃以上

              →寒帯(E)では、農作物の栽培ができない

    (b)乾燥限界…250mm未満:非農牧業地域

              250mm以上:牧畜(らくだ、馬、羊)

              500mm以上:畑作(小麦、綿花)、牧畜(馬・牛)

                  1000mm以上:稲作、牧畜(牛・豚)

  A地形

  B土壌

   (a)肥沃な土壌・・チェルノーゼム、プレーリー土、パンパ土、 レグール土、テラローシャ、森林褐色土

   (b)非生産的な土壌・・ラトソル、ポドゾル

  C高度…高距限界(垂直的な寒冷限界)

 (ロ)社会的条件   @交通と輸送  A資本や技術  B文化や生活様式

 (ハ)チューネン(独・経済学者1783〜1850年)の農業立地論

   市場までの距離に応じて集約度の違った農業経営をおこなうべきだと唱えた

    『孤立国』第1巻(独) (1826)〔第2巻,50年;第3巻,63年〕

     「ヨハン・ハインリヒ・フォン・チューネン (Johann Heinrich von Thünen), 1780-1850.」

     http://cruel.org/econthought/profiles/thunen.html 「経済思想の歴史」

2.作物や家畜の伝播

 (イ)農業文化圏の形成

   A 地中海農耕文化(西アジア→ヨーロッパ)…小麦、大麦、かぶ、えんどう

   B サバナ農耕文化(サハラ砂漠以南のサバナ→インド・中国) …ササゲ、シコクビエ、ヒョウタン、ゴマ

   C 根栽農耕文化(東南アジア→オセアニア)…さとうきび、タロいも、ヤムいも、バナナ

   D 新大陸農耕文化(中南米)…とうもろこし、トマト、とうがらし、じゃがいも

 (ロ)主な農作物の原産地と主産地

農作物

原産地

主産地(2012年)

東南アジア・中国・インド説

中国・インド・インドネシア・ベトナム・タイ

小麦

西アジア(ペルシャ地方)

中国・インド・アメリカ・フランス・ロシア

とうもろこし

中南米

アメリカ・中国・ブラジル・メキシコ・アルゼンチン

じゃがいも

南米アンデス

中国・インド・ロシア・ウクライナ・アメリカ

トマト

南米アンデス

中国・インド・アメリカ・トルコ・エジプト

ブドウ

カスピ海沿岸

中国・アメリカイタリア・フランススペイン

コーヒー豆

エチオピア

ブラジル・ベトナム・インドネシア・コロンビア・インド

カカオ豆

南米

コートジボワール・インドネシア・ガーナ・ナイジェリア・カメルーン

油ヤシ

ギニア湾岸

インドネシア・マレーシア・タイ・コロンビア・ナイジェリア

天然ゴム

南米アマゾン

タイ・インドネシア・ベトナム・中国・インド

3.ホイットルセー(米・地理学者・1890〜1956年)の農業地域区分…「世界農業地域図」(1926)

  自然条件や経営様式から世界の農牧業地域を12(13)の類型に区分

4.農牧業の地域区分

 (イ)自給的農業

  <原始的農業>…熱帯や乾燥地域にみられる

   @焼畑農業…草原や森で雑木、雑草を焼き払い、焼跡で農業を営む。地力が衰えると放置し、数年から数十年

           後に再び焼畑として利用する。熱帯地域に多い。

         作物…ヤムイモ、タロイモ、キャッサバ

         分布…アフリカ中央部(コンゴ盆地)、東南アジア、アマゾン流域、太平洋の島々

   Aオアシス農業…乾燥地域のオアシス、外来河川流域でナツメヤシ、綿花、小麦を栽培

     ※地下水路…カナート(西アジア) フォガラ(北アフリカ)

             カレーズ(アフガニスタン、パキスタン) カンアルチン(中国)

   B遊牧…水と草をもとめて家畜を伴って移動する牧畜

     (a)砂漠・オアシスの遊牧民族…らくだ、山羊、羊

         西アジア〜アラビア半島…ベドウィン

         北アフリカ…ベルベル人

     (b)ステップの遊牧民族…馬、羊、牛、らくだ

         中央アジア…トルコ系(キルギス人、カザフ人、ウズベク人)

         モンゴル高原…モンゴル人

     (c)ツンドラの遊牧民族…トナカイ

         ラップランド…サーミ

         ロシア北部…サモエード、ヤクート

         カナダ北部及びアラスカ…イヌイット

     (d)サバナの遊牧民族…牛、羊、ロバ

         東アフリカ〜スーダン…マサイ

     (e)山岳の遊牧民族

         アンデス高原…リヤマ・アルパカ→インディフェナ(インディオ)

         チベット高原…ヤク→チベット人

  <アジアの伝統的農業>

   Cアジア式稲作農業…東アジア、東南アジア、南アジア

     (a)モンスーンの高温多雨利用、水牛、家族労働

     (b)沖積平野…ガンジス川、ブラマプトラ川、エーヤワディ川、チャオプラヤ、メコン川、

              ホン川(ソンコイ川)、チュ- 川、長江

     (c)島嶼…ジャワ島、バリ島、ルソン島→棚田

   Dアジア式畑作農業…乾燥・寒冷・高山地域

     (a)乾燥地域→デカン高原…綿花、小麦、さとうきび

     (b)寒冷地域→中国東北地区・華北…小麦、綿花、こうりゃん、粟

     (c)インドシナ半島(傾斜地・丘陵)…茶、さとうきび、(大麻)

   ※緑の革命  1960年代後半に、熱帯に適した稲や小麦の新品種を開発し、アジア地域における農業生産量

            を飛躍的に増大させたことを指す。

 (ロ)商業的農業…ヨーロッパ、北アメリカで発達した商品作物を中心とした農牧業

   E混合農業…穀物、飼料作物の栽培と家畜の飼育

     (a)ニ圃式農業(2年に1作)→三圃式農業(3年に2作)→混合農業  ※休閑地は放牧…牛、豚、羊

     (b)ヨーロッパ(ドイツ、フランス、ポーランド)…小麦・大麦・テンサイ・じゃがいも・牛・豚

     (c)湿潤パンパ(アルゼンチン)…とうもろこし・アルファルファ・牛・豚

     (d)コーンベルト(USA)…とうもろこし・大豆・牛・豚

   F地中海式農業…地中海性気候、二圃式農業から発達

     (a)夏(高温乾燥)…果樹、野菜(ブドウ、レモン、オリーブ、オレンジ、トマト)

     (b)冬(温暖降雨)…冬小麦

   G酪農…乳製品の生産

     (a)農耕に適さない土地(氷河の末端部)→牧草地

     (b)ヨーローッパ北部(北海・バルト海沿岸)、五大湖沿岸〜ニューイングランド

       オーストラリ東南部、ニュージーランド北島、アルプス山麓   

   H園芸農業…都市(消費地)の近郊で野菜、果樹、花卉(草花)を栽培

 (ハ)企業的農牧業…南北アメリカ・オセアニアの白人入植地→鉄道の施設・冷凍船の発明・大型機械の導入

   I企業的穀物農業…輸出用の小麦、トウモロコシを大量に生産

       プレーリー(北アメリカ)、湿潤パンパ(南アメリカ)、ウクライナ、オーストラリア

   J企業的牧畜業…大規模農場で、放牧により牛、羊を飼育

     (a)降水量500mm未満、広大な草原

     (b)アメリカ合衆国、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、ロシア、南アフリカ

   Kプランテーション…熱帯の植民地→ヨーロッパ列強による大土地所有に基づく大規模農園

     (a)単一の商品作物栽培(モノカルチャー)…綿花、さとうきび、コーヒー、ゴム、茶

     (b)現地住民の貧困化…住民の自給的農業を狭い耕地に追いやる

     (d)ラテンアメリカの大農園

        ブラジル…ファゼンダ

        アルゼンチン…エスタンシア

        アルゼンチン以外の旧スペイン領の国(メキシコ、アンデス諸国)…アシェンダ

     (e)旧イギリス領のプランテーション農園…エステート

   ※1アグリビジネス…農業関連企業 農産物の生産流通を支配 遺伝子組み換え  有機農業  農薬  肥料

   ※2穀物メジャー…アグリビジネスの代表。生産は行わず、産地穀物倉庫から集散地倉庫・トラック・鉄道・輸出

               倉庫・外洋輸送船を有し、農民から消費者までの穀物の流通を支配する。

        世界最大の穀物メジャー…カーギル社

 (ニ)集団的農業…社会主義国の農牧業、計画経済のもとで生産 →社会主義国の崩壊にともない解体

     中国…人民公社

     旧ソ連…コルホーズ(集団農場)、ソフホーズ(国営農場)

     モンゴル…ネグデル(大規模国営農場)、遊牧民の協同組合化

 

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